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論文が採択されました (Residual force enhancement is attenuated for quick stretch conditions)

Journal of Biomechanicsに投稿していた論文が採択されました。

Residual force enhancement is attenuated for quick stretch conditions

Atsuki Fukutani,  Walter Herzog

この研究は、residual force enhancementと呼ばれる、
“伸張性収縮をした後に一時的に筋力が増強する” という現象に関するものです。
このような現象は、例えば、私達の反動ジャンプ
(上に飛び上がる前に、一旦しゃがみこんで筋を引き伸ばす) などで使われている可能性があります。
この現象を引き起こす方法 (メカニズム) を知ることができれば、
スポーツ時に、この効果を最大限に引き出せる可能性があります。

この研究で私達が行ったのは、ゆっくり、もしくは素早く筋を引き伸ばして、
residual force enhancementの程度を比較するというものです。
ただし、ここでいう【素早く】というのは、筋を、0.0005秒間で引き伸ばすという、
極端に速いものです。
なぜこのような速い速度で筋を引き伸ばしたかというと、
もし仮に、【クロスブリッジを引き伸ばすこと】が
residual force enhancementを引き起こす鍵 (十分条件) であるならば、
0.0005秒間の伸長であっても、引き伸ばした “量” というのは十分ですので
(結合したクロスブリッジが通常のクロスブリッジサイクリングをするには
0.005から0.020秒くらいはかかると言われており、
それよりもかなり短い時間で筋を引き延ばせば、
その瞬間に結合しているクロスブリッジは最大レベルで引き伸ばされているはずですので)、
residual force enhancementが生じるはずです。

しかし、結果はそうではなく、極端に速く筋を引き伸ばすと、
residual force enhancementは生じない一方で、
ゆっくり引き伸ばすと、residual force enhancementが生じました。

これは、実験をやる前に我々が予想していたとおりの結果であり、
「residual force enhancementを生じさせるためには、(クロスブリッジの伸長ではなく)
通常のクロスブリッジサイクリングが求められるのではないか?」
という我々の仮説にマッチします。

この現象は、存在としては非常によく知られていますが、
なぜこのような現象が生じるかについては答えが出ていません。
この答えが出れば、この現象をスポーツ動作で活用するという考えも出てきますので、
なんとか真実 (メカニズム) に迫るような研究ができればと思っています。

写真

Atsuki Fukutani Ph.D.
(Sport Sciences)

Faculty of Sport and Health Science, Ritsumeikan University, Assistant professor

1-1-1 Noji-higashi, Kusatsu, Shiga, 525-8577, Japan

info@skeletalmuscle.net

Copyright © Atsuki Fukutani
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