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論文が採択されました (Influence of caffeine on the maximal isometric and concentric force produced by skinned fibers)

Scientific Reportsに投稿していた論文が採択されました。

Influence of caffeine on the maximal isometric and concentric force produced by skinned fibers

Atsuki Fukutani,  Shiho Kunimatsu, Tadao Isaka

この研究は、カフェインが発揮筋力に与える影響を検証したものです。
カフェインが発揮筋力に与える影響としては、
カフェインが筋小胞体を刺激し、筋収縮に必須のカルシウムイオン放出を促すことが
広く知られています。

そのため、カフェインを飲むことで発揮筋力が増強するのでは?と仮説を立てて、
検証を行っている論文が多数ありますが、
もし仮に、カフェインの効果がカルシウムイオン放出を促すことだけなのであれば、
それは、最大筋力発揮のように、
「カルシウムイオンが既に十分量放出されている」状況下では効果がない、
いいかえると、
なにもせずとも100%に達する状況を、カフェインで “促通” しても100%にしかなりませんので、
カフェインの効果はないと考えられます。

ただし、カフェインがカルシウムイオン放出を促すこと以外に、
例えばクロスブリッジサイクリングに直接的な影響を与えるのであれば話は別で、
最大筋力発揮も影響を受ける可能性が残されています。

この点を明らかにするため、人工的にカルシウムイオン濃度を最大レベルにし、
(これによって、【カフェインのカルシウムイオン放出促進】の効果を消し、)
発揮筋力への影響を検証しました。

その結果、最大等尺性筋力や最大短縮性筋力、
さらには筋のstiffness (結合したクロスブリッジの数の指標) を検討しましたが、
いずれもカフェインによって変化はありませんでした。

これらの結果は、やはりカフェインの発揮筋力に対する効果は
従来言われているようなカルシウムイオンの放出促進であり、
カルシウムイオンの放出の効果が期待できないような状況では、
カフェインが発揮筋力を増大させることはない、ということを示唆しています。

今回はカフェインを取り扱いましたが、
この実験に着手した理由は、カフェインに限らず、
様々なサプリメント、栄養素の効果を調べるときに使える実験系を確立することでしたので、
これを機に、様々な栄養素の効果を検証する実験に着手していこうと考えています。

写真

Atsuki Fukutani Ph.D.
(Sport Sciences)

Faculty of Sport and Health Science, Ritsumeikan University, Assistant professor

1-1-1 Noji-higashi, Kusatsu, Shiga, 525-8577, Japan

info@skeletalmuscle.net

Copyright © Atsuki Fukutani
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