福谷充輝のホームページ

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論文が採択されました (Force loss induced by inhibiting cross-bridge cycling is mitigated in eccentric contraction)

Journal of Experimental Biologyに投稿していた論文が採択されました。

Force loss induced by inhibiting cross-bridge cycling is mitigated in eccentric contraction

Atsuki Fukutani,  Shiho Kunimatsu, Tadao Isaka

この研究では、単一の筋細胞を実験対象とし、
化学的に筋力を低下させて (クロスブリッジの動きを抑制させて) 筋疲労状態を模倣することで、
その時の筋力低下の程度を、等尺性収縮、伸張性収縮、伸張性収縮後の等尺性収縮時の3条件で比較しました。

直感的には、仮に等尺性収縮時の筋力が20%低下するのであれば、
伸張性収縮時の筋力も、伸張性収縮後の等尺性収縮時の筋力も同じように20%低下する、
と考えるのが普通だと思いますが、
実際にはそのようにならず、
クロスブリッジの動きを抑制した時の等尺性収縮時の筋力低下の程度は、
伸張性収縮時の筋力低下、伸張性収縮後の等尺性収縮時の筋力低下よりも大きい、
という結果が得られました。

クロスブリッジの動きは、どの条件も同じように抑制されているので、
この筋力低下の程度が条件間で異なったという結果は、
クロスブリッジ以外の何かが、
伸張性収縮時の筋力、伸張性収縮後の等尺性収縮時の筋力に貢献していることを示唆しています。

我々は、タイチンの弾性力が
伸張性収縮時の筋力、伸張性収縮後の等尺性収縮時の筋力に貢献しているのではないかと考えています。
この仮説が正しければ、タイチンの弾性力の影響が大きくなる筋が伸ばされた状態において
この効果が顕著になるはずであり、これも実験的に確かめることが出来ました。

タイチンの弾性力は、クロスブリッジとは異なった興味深い力発揮特性を有するため、
ヒト生体レベル、細胞レベル、さらには細胞下レベルの実験を駆使して、
引き続き積極的に研究を進めていきたいと思います。

写真

Atsuki Fukutani Ph.D.
(Sport Sciences)

Faculty of Sport and Health Science, Ritsumeikan University, Assistant professor

1-1-1 Noji-higashi, Kusatsu, Shiga, 525-8577, Japan

info@skeletalmuscle.net

Copyright © Atsuki Fukutani
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