福谷充輝のホームページ

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論文が採択されました (Effect of Active Lengthening and Shortening on Small-Angle X-ray Reflections in Skinned Skeletal Muscle Fibres)

International Journal of Molecular Sciencesに投稿していた論文が採択されました。

Effect of Active Lengthening and Shortening on Small-Angle X-ray Reflections in Skinned Skeletal Muscle Fibres

Venus Joumaa, Ian C. Smith, Atsuki Fukutani, Timothy R. Leonard, Weikang Ma, Srboljub M. Mijailovich, Thomas C. Irving, Walter Herzog

この研究は、アメリカの大型放射光施設アルゴンヌ国立研究所で行った実験です。
筋収縮の最も基本的な収縮特性に「力-長さ関係」というものがあります。
これは、「(収縮レベルが最大の場合) 発揮できる力は筋の長さによって異なる」というものです。
言い方を変えると、「筋の長さが同じであれば、発揮できる力は同じ」ということになります。

しかしながら、例外があることも古くから知られており、
例えば、
①筋をある長さ【Length x】にしたときに計測した力
②筋を【Length x】よりも長い状態から短縮させながら【Length x】にした後に計測した力
③筋を【Length x】よりも短い状態から伸長させながら【Length x】にした後に計測した力
は異なり、
②は①よりも小さな力になり、
③は①よりも大きな力を発揮することができる、
という現象が存在します。

これは、「筋の長さが同じであれば、発揮できる力は同じ」という理論に反しており、
「筋の長さが同じであれば、発揮できる力は同じ」という理論は
クロスブリッジセオリーによって成り立っていることを考えると、
この現象は既存のクロスブリッジセオリーでは説明できない現象といえます。

その理由を検証するため、
筋収縮タンパク質の生理的な3次元構造が維持されている状態で
クロスブリッジレベルの情報が読み取れるX線回折という技術を使って、
筋を伸長、もしくは短縮させた後のクロスブリッジの状態を計測しました。

その結果、
②の筋力が減少する現象時には、結合しているクロスブリッジ数が減少し、
③の筋力が増大する減少時には、結合したクロスブリッジ数は変わらない、
ということが分かり、これは
②の現象は、何らかの理由でクロスブリッジが結合できなくなっていること、
③の現象は、クロスブリッジ以外の要因が筋力増強に貢献している、
ということを示唆しています。

この短縮、もしくは伸長による発揮筋力の一時的な調整機構は、
【(伸長と短縮を含む) 反動動作による筋力増強】という、
私の主要研究テーマに極めて強く関連するものですので、
最重要研究課題と考え、精力的に研究を進めています。

写真

Atsuki Fukutani Ph.D.
(Sport Sciences)

Faculty of Sport and Health Science, Ritsumeikan University, Assistant professor

1-1-1 Noji-higashi, Kusatsu, Shiga, 525-8577, Japan

info@skeletalmuscle.net

Copyright © Atsuki Fukutani
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