福谷充輝のホームページ

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第28回日本バイオメカニクス学会大会で研究発表をしました

第28回日本バイオメカニクス学会大会で、

【最大等尺性膝関節屈曲および股関節伸展時における同一姿勢でのハムストリングスの筋活動レベルの差異】

小野宗隆、福谷充輝、伊坂忠夫

という内容で、共同研究者の小野宗隆くんが研究発表を行いました。

この研究では、ハムストリングの筋活動レベルが、
膝関節屈曲 (レッグカールのイメージ) と股関節伸展 (デッドリフトのイメージ) で異なるかどうかを
検証したものです。

ハムストリングスは2関節筋であり、膝関節と股関節をまたいでいますので、
膝関節を曲げるレッグカールだけでなく、
股関節を伸ばすデッドリフトでも鍛えることが出来ると考えている人は多いと思います。
かくいう私も、スクワット、デッドリフトをやっているので、
レッグカールは必要ないと考えていて、実際にやっていませんでした。

しかし、実際にこれらの動作を行った時に
筋電図でハムストリングスの筋活動レベルを計測してみると、
股関節伸展時よりも膝関節屈曲時のほうが、筋活動レベルが大きいという結果が得られました。
これをトレーニングに当てはめて考えると、
ハムストリングスを鍛えるのであれば、デッドリフトよりもレッグカールが適している
ということを示唆しています。

上記の動作はいずれも「全力で行ってください」という指示のもと行っているのですが、
股関節伸展時にはハムストリングスの筋活動レベルが最大に達しておらず (余力が残っており)、
私にとっては不思議な結果に思われます。
なぜなら、股関節伸展時にはハムストリングスを使い切っていないということは、
すべてのハムストリングスを動員すれば、理論上より大きな股関節伸展筋力が発揮できるはずなのに、
「全力での股関節伸展時」にそれをしていないからです。

現状、動作に応じて、脳が各筋の出力を調整しているという解釈をしているのですが、
その理由、つまり何に基づいて各筋の出力を動作間で調整しているのかが分かっていません。

なお、この現象は、ハムストリングスだけでなく、他の二関節筋でも確認されており、
例えば足関節と膝関節をまたぐ腓腹筋において、
膝関節屈曲時の筋活動レベルは、足関節底屈時の筋活動レベルよりも
かなり低いということが起こりえます
(→ 私自身の足を対象に測定した結果です)

そのため、このような現象は、多くの二関節筋 (多関節筋) で共通してみられる現象だと考えられ、
もしそれが本当だとするならば、多くのレジスタンストレーニングで考慮すべき
重要なポイントになりますので、さらに研究をすすめていきたいと思います。

写真

Atsuki Fukutani Ph.D.
(Sport Sciences)

Faculty of Sport and Health Science, Ritsumeikan University, Assistant professor

1-1-1 Noji-higashi, Kusatsu, Shiga, 525-8577, Japan

info@skeletalmuscle.net

Copyright © Atsuki Fukutani
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