論文が採択されました (Differences in stretch-shortening cycle and residual force enhancement between muscles)
Journal of Biomechanicsに投稿していた論文が採択されました。
Differences in stretch-shortening cycle and residual force enhancement between muscles
Atsuki Fukutani, Walter Herzog
この研究は、私の主たる研究テーマである、反動動作による筋力増強 (stretch-shortening cycle: SSC) に関連するものです。従来、SSCによる筋力増強効果 (SSC効果) は、伸張反射と腱の弾性エネルギーで説明されてきましたが、神経と腱を完全に取り除いた筋細胞でもSSC効果はみられるため、上記以外の要素の貢献もあるだろうと考え、検証を進めています。現時点の私の考えとしては、クロスブリッジに蓄積した弾性エネルギー、タイチンに蓄積した弾性エネルギーがその候補になるだろうと考え、検証を進めています。この研究では、速筋線維と遅筋線維ではクロスブリッジとタイチンの特性が違うことに着目し (遅筋のほうがクロスブリッジ効果の恩恵を受けやすく、速筋のほうがタイチン効果の恩恵を受けやすいと考えています)、異なる筋線維組成間でSSC効果の程度を比較しました。その結果、遅筋においてSSC効果が大きかったため、タイチンよりもクロスブリッジのほうが、強くSSC効果に貢献しているのではないかと推察しています。ただし、実際にクロスブリッジ動態やタイチンの動態を計測 (可視化) しているわけではないので、極めてチャレンジングではありますが、このクロスブリッジやタイチンの動態の可視化を達成できるよう、継続的に研究を進めている状況です。
2020.9.20