2022年を振り返って
今年も終わりに近づき、振り返ってみるとブログの更新が全く出来ておらず情けない限りです。
8月からロンドンに滞在するということもあり、その対応、準備が大変だったのですが、
他にも、人生初となる、救急車で運ばれてそのまま入院、という出来事もあり、
(現状、大したことはないので、ご心配なさらないようお願いします)
かなり慌ただしい一年となってしまいました。
ロンドンに来てからはある程度持ち直し、
やっと研究が出来る環境になりましたので、
気持ちを切り替えて実験を行っています。
自身の予定している実験は、
骨格筋のskinned fiberという、細胞膜を除去して、筋収縮をカルシウムイオンでダイレクトに制御できる実験系を用いて、
その時のミオシンヘッドの構造変化 (角度変化) を、蛍光偏光を利用してミリ秒オーダーで計測するというもので、
多数の工程があり、今はそれを頑張って習得しようとしている状況です。
これが私の計画していた実験だったのですが、
運良く、他のプロジェクトも経験させてもらうことができ、
その中で、こちらも初めてとなる、ラットの心筋、マウスの長趾伸筋の採取、
およびそれらを用いた力学計測も経験させてもらうことが出来ました。
(実験のタイミング的に、むしろこちらを最初に習得することになり、ある程度本実験にも貢献することができました)
特に心筋の力学測定は、私は完全に未経験だったので知らないことも多く、
様々な知識を新たに学ばなければならなかったのですが、
新しい知識を学ばなければいけないということは、自身のレベルアップに繋がると考えていますので、
自分としては、充実した時間でした。
実際、ここで習得した心筋の実験技術を使って、日本に帰国してからやりたい実験計画があり、
既に倫理申請を提出して、実験準備をすすめているところです。
マウスの長趾伸筋 (ほぼ全て速筋) の実験 (ほぼ全て遅筋のマウスのヒラメ筋と合わせることで筋線維組成の影響をみる実験に好都合) は、
実は前から気になっていたので試していたのですが、なかなか上手くいかず苦労していました。
というのも、周りに出来る人がおらず、論文を読んで状況を模倣するという感じで、
誰かがちゃんと実験している (ちゃんとデータが取れている) のを見たことが一度もない状況でしたので、
今回、世界的に有力なラボが実際にしている実験の一部始終を見れたのは、大きな収穫でした。
これは、現ラボのボスとも話していたのですが、
「論文の【方法】セクションは、論文を読んだ人が実験を再現できるように書きなさい、と教わるけれど、
実際問題、特にレベルの高い論文になればなるほど、論文に書かれていないノウハウがたくさんある
(=論文の方法を読んだだけでは実験を再現できない)」
というと、「そうなんだよねー (笑)」という感じでした。
2023年1月からは、基本的には自身の研究テーマの実験全工程を一人で出来るようにし、
実験一つ分を終えられればラッキー、というイメージです。
あとは、溜まっているデータを全て分析、学会発表や論文に繋げるところまでを2023年3月までに終わらせ、
2023年4月に帰国後、春学期は授業が詰まっており、新規で受け持つ授業がかなりありそうなので、
授業対応が中心となり、空いた時間を見つけて、最も力を入れているSPring-8実験だけはなんとか最優先して進め、
夏休み以降から後期にかけては、授業数がグッと減るので、
また研究も再開させる、という感じになりそうです。
あとは、いよいよコロナの規制が収束に近づきつつあり、出張や、対面での学会参加も増えそうですので、
2020年度以降ほとんど動けていなかった分、積極的に動いていこうかなと思っています。
とりあえずは、6月にカナダのキャンモアで開催されるRocky mountain muscle symposium、
8月に福岡で開催されるCongress of International Society of Biomechanics、
9月に開催されるEuropean Muscle Conferenceに参加予定で、
他にも国内学会にも参加出来ればと思っています。
やはり、現地参加するからこそ得られることもあると思いますので。
こんな感じで、2023年はアクティブに動ければと考えています。
ちなみに2022年も、次の月曜・火曜で、最後の実験をやる予定で、
それ以降にもデータ整理や論文執筆をできる限り進めて、
気持ちよく2023年を迎えたいと思います。
良い年末年始を!