福谷充輝のホームページ

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進行中の実験の紹介

カロリンスカ研究所では、筋肉の塊から一つの筋細胞を取り出して、
この筋細胞の筋力を測定する実験を行っています。

取り出し方は何通りかあるのですが、
今回は、顕微鏡で確認しながらピンセットとハサミを使って余分な部分を切り落としていき、
最後に一つの筋細胞だけを残すという方法を採用しています。

実際、やっていることは本当にこれだけで、説明するのは非常に簡単なのですが、
いかんせんサイズが小さいので、非常に難しく時間がかかる作業になっています。
最後に一本を残そうと思っているにもかかわらず、途中で全てを切り落としてしまったり、
一本だけ残せたとしても、電気刺激を与えてもうんともすんともいわない
(筋細胞が収縮しない = 作業中にダメージを負って収縮出来なくなっている)
ということが多々あります。

さらに、作業開始から残り数本だけ切り落せば完成というところまで1時間以上かかるので、
最後に誤って全てを切り落としてしまうと
それまでの1時間以上の作業時間が無駄になってしまいます。

大変だとは聞いていたのですが、噂通り大変でした・・・。
写真は、最終的に (生きた筋細胞が) 一個になったものです。
写真では伝わりにくいかもしれませんが、筋細胞は非常に透明でキレイに見えます。

筋細胞は、太さが髪の毛と同じくらいで (直径0.1 mm)、
長さはものにより1 mmだったり、200 mmだったりします。
今回の実験では、筋細胞が長いと一本を取り出すのが非常に難しいので
(長いと、筋細胞を壊すチャンスが増大します)、
1 mm以下という短い筋細胞を対象にしています。

この筋細胞を用いる利点としては、
例えば筋疲労系のサプリメントを摂取したときの効果といったものを検証するとき、
筋細胞にサプリメントをダイレクトにふりかけて効果を検証出来ることが挙げられます。
他にも、筋収縮中において、筋細胞内のカルシウムイオンの出入りを見ることもできるので、
この実験技術をカロリンスカ研究所でしっかり習得して日本に帰りたいと思います。

筋細胞

写真

Atsuki Fukutani Ph.D.
(Sport Sciences)

Faculty of Sport and Health Science, Ritsumeikan University, Assistant professor

1-1-1 Noji-higashi, Kusatsu, Shiga, 525-8577, Japan

info@skeletalmuscle.net

Copyright © Atsuki Fukutani
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