福谷充輝のホームページ

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論文が採択されました (Evidence for muscle cell-based mechanisms of enhanced performance in stretch-shortening cycle)

Frontiers in Physiologyに投稿していた論文が採択されました。

Evidence for muscle cell-based mechanisms of enhanced performance in stretch-shortening cycle

Atsuki Fukutani, Tadao Isaka, Walter Herzog

私達が出版する科学論文は、大きく分けると “原著論文” と “総説” があります。
“原著論文” は実験を自分で行って、その結果についてまとめるというタイプ、
“総説” は自分自身で実験は行なわず、
これまでに発表された多くの関連研究を俯瞰的にまとめることで、
現状の問題点、今後検証すべきポイントなどを導き出すというタイプのものです。
今回出版した論文は後者の “総説” タイプになります。

私のメインの研究テーマは「反動動作による筋力増強 (stretch-shortening cycle: SSC) 」 であり、
この総説では主に、私がここ3-4年で多く行った、単一の筋線維を対象とした実験を軸とし、
その関連研究を紹介しています。

SSCは、バイオメカニクスや運動生理学、トレーニング科学の一般的なテキストブックにも記載されている、
スポーツ科学において非常に有名な現象です。
そして、これらのテキストブックを読んで頂くと、
多くのテキストブックでは “伸張反射” と “腱に蓄積した弾性エネルギー” が
SSCのメカニズムとして紹介されているかと思います。

しかし、意図的に神経系の影響 (伸張反射の影響) を除外し、
腱そのものを含まない単一の筋線維を取り出して伸張性収縮・短縮性収縮のサイクルを行ったとしても、
明確なSSC効果が観察されます。
すなわち、伸張反射と腱の弾性エネルギー以外にも、SSC効果に貢献する要因があると考えられます。
単一の筋線維でSSC効果が生じるということは、このSSC効果は筋線維内に存在するタンパク質由来のものと考えられ、
現在はクロスブリッジとタイチンに着目しています。
これらはいずれも、筋の伸長によって引き伸ばされる、
すなわち弾性エネルギーを蓄積しうるので、
この弾性エネルギーの働きについて検証を進めています。
そのため、今回の総説では主にクロスブリッジとタイチンの働きについて
関連研究をまとめて紹介しています。 

写真

Atsuki Fukutani Ph.D.
(Sport Sciences)

Faculty of Sport and Health Science, Ritsumeikan University, Assistant professor

1-1-1 Noji-higashi, Kusatsu, Shiga, 525-8577, Japan

info@skeletalmuscle.net

Copyright © Atsuki Fukutani
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