日本学術振興会の基盤研究Bに採択されました
日本学術振興会の基盤研究Bに
【クロスブリッジ構造とサルコメア構造の同時実測に基づく、筋収縮特性研究の新展開】
という研究プロポーザルが採択されました。
本研究は、私が最も力を入れている研究で、
生体においてクロスブリッジ構造とサルコメア構造を同時に計測する実験に関するものです。
クロスブリッジ構造は数nmスケール、サルコメア構造は数μmスケールという、
1000倍のオーダーでスケールが異なるため、通常、同時に計測することは出来ません。
そこで、X線小角散乱 (極小角散乱) という手法を用いることで、
同時に、かつ、生理的環境が維持された生体で計測しようとしていることが
本研究の最大のポイントです。
サルコメア長というのは筋力に大きく関わる要素ですが、
計測することは非常に難しく (特に収縮中のサルコメア長は困難)、
一般的には【筋力が最大になる → 力-長さ関係における至適長 → サルコメア長は2.4μm】
のような推定が使われています。
特にヒト生体においては、モーメントアームのような第3の要因も入ってくることから、
【筋力が最大になる → 力-長さ関係における至適長】という推定も成り立たないことが多いため、
サルコメア長と様々な力発揮現象との関連を調べるのは現実的には不可能です。
本研究はこのような問題を解決出来る可能性を秘めており、
非常に時間のかかる実験ですが、取り組むべき価値があると考え、
良い成果が発表できるよう、今後も頑張っていきたいと思います。
2025.3.6