公益財団法人中谷医工計測技術振興財団、技術開発研究助成に採択されました
公益財団法人中谷医工計測技術振興財団、技術開発研究助成に
【X線小角散乱による、生体の運動中におけるクロスブリッジ動態の計測法確立】
という研究プロポーザルが採択されました。
この研究は、私が最も力を入れている研究で、
身体運動の源であるクロスブリッジ動態を実験的に捉えるというものです。
筋収縮メカニズムを把握するためには、クロスブリッジ動態の把握が必須です。
そのため、例えば走っているときやジャンプしているときのクロスブリッジ動態は、
すべてのスポーツ科学研究者が知りたいことではありますが、
これを計測するのは極めて困難です。
なぜかというと、クロスブリッジ動態は約5ナノメーター (0.000005mm) という、
極めて小さいものだからです。
これは、光学顕微鏡を使っても見えないほど小さいものです。
この極小のクロスブリッジ動態を捉える方法は存在するのですが、
それは、個々の分子を抽出して計測するものが多く、
この状態では、生体の3次元構造は完全に失われていますので、
この実験系で得られた結果が生体にも適用できるのかは疑問が生じます。
このような状況を踏まえ、私達の研究グループは、
“生体の運動中” に、強力なX線を筋に照射して、
ナノメータースケールのクロスブリッジ動態を捉えることに挑戦しています。
この手法を確立することが出来れば、
これまでは、力学測定の結果から “推定” していたクロスブリッジ動態を、
“実測” によって確かめることができるようになるため、
様々な身体運動のより詳細な理解に繋がると考えています。
2022.3.14