福谷充輝のホームページ

福谷充輝のホームページ

股関節内転筋の股関節伸展作用 part2

今回は前回の続きで、股関節内転筋群の股関節伸展作用について紹介したいと思います。

前回、股関節内転筋群は、股関節角度によっては股関節伸展のモーメントアームを持つので、
股関節伸展動作にも貢献しうると紹介したかと思います。
これは、機能解剖をとても詳細に解説している本であれば、
記載されている内容かと思います。

ただし、今から紹介することは、
私の知る限り、一般的な書籍では記載されていることを見たことがありません。
それは、
【股関節内転筋群が股関節伸展のモーメントアームを持つ関節角度で、
本当に股関節内転筋群が股関節伸展時に活動するのか?】
ということです。

これまで紹介したように、股関節内転筋群は、特定の関節角度 (股関節屈曲位) では、
股関節伸展のモーメントアームを有するようになりますので、
幾何学的に考えると、股関節内転筋群は股関節伸展に貢献する、と考える事ができます。

ただし、股関節伸展のモーメントアームを持つからといっても、
股関節伸展時に股関節内転筋群が一切活動しなければ、
もちろん、股関節伸展に貢献することはありません。

なので、股関節内転筋群が股関節伸展動作に貢献するためには、
股関節内転筋 (それを支配している中枢神経系) が、
「お、今、股関節角度が変わって、股関節内転筋群が股関節伸展にも貢献するようになったので、
ここからは股関節内転筋群も動員しよう!」
という判断をしている必要があります。

このような、”関節角度 (正確にはモーメントアーム) に応じた筋の収縮制御” が存在するのかは、
私の知る限り、全く解明されていないと思います。
仮に、もしこのような機序が存在するならば、
単純な機能解剖のみからでは筋の関節運動への貢献を明らかにすることが出来なくなってしまいます。
このような考え方は既存のレジスタンストレーニングでは全く考慮されていないと思いますし、
状況に応じた筋の動員調節ができるかどうかは、
【運動の巧みさ】の鍵ではないかも考えていますので
(動作練習をすればするほど、その時に必要な筋を動員できるような神経回路が作られる!?)、
今後の研究テーマとして非常に面白いと考えています。

写真

Atsuki Fukutani Ph.D.
(Sport Sciences)

Faculty of Sport and Health Science, Ritsumeikan University, Assistant professor

1-1-1 Noji-higashi, Kusatsu, Shiga, 525-8577, Japan

info@skeletalmuscle.net

Copyright © Atsuki Fukutani
トップへ戻るボタン